胃がんは日本人が最もなりやすいがんと言われています。がんの治療では歴史のある領域です。現在、内視鏡で早期がんを発見することができ、昔は開腹手術が必要だったがんも内視鏡手術でとれるようになっています。胃がんの手術は多くの病院で取り組まれており技術も相当程度に標準化されています。

手術は、診断する内科医や手術をする外科医との連携ばかりでなく多くの人や部署の協力をもって実現するひとつのプロジェクトと言えます。手術の後も専門的なケアが必要です。その手術がうまくいったかどうかは、その後の入院日数をもって推測することができます。胃がん手術後の日数を取り上げるのは、手術のなかで最も代表的な胃がんの手術をもってその病院の手術をめぐる技術やチームのありようを伺い知ろうとすることが目的です。

全日本民医連のデータを見ると最小値と最大値の幅が非常に広くなっています。そこで年間10件以上の手術を行った病院にしぼってあらためて集計すると、最小値16日、最大値48.6日、中央値25.2日となります。ここには示しませんが度数分布表を見ると20日から30日の間が最も多くなっています。多くの病院で手術後20〜30日で自宅に帰れることが分かります。これらのデータと比べると当院は中央値付近に位置しており、他の多くの病院とほぼ同等と思われます。

算出の仕方がやや異なりますが、当院の2011年の平均日数は約25日と2012年とほぼ一緒です。当院の治療成績はおおむね標準的でかつ安定していることがうかがわれます。さらにこの値の推移を見ながらより早期の退院が実現できないかを関連部署が追求していくことになるでしょう。

指標の計算式、分母・分子の解釈
  各指標の計算式と分母・分子の項目名 分母・分子の解釈
分子 胃がん術後患者の術後在院日数の総和 胃がん術後(手術日を含まない)から退院日までの日数
分母 胃がんの手術を受け当該月に退院した患者数 計測期間内に「退院した」患者のうち、「胃がん」を主病名として入院し、入院中に全身麻酔による手術治療(開腹もしくは腹腔鏡下による胃切除術、胃部分切除術)を受けた患者数
全日本民医連2012年70施設参加「医療の質向上・公開推進事業」データより
年度 最大値 中央値 最小値
2012年 88.1日 27.2日 8.5日