剖検率とは、病院で亡くなった患者さんの中で、病理解剖を行った患者さんの割合を示す値です。国の定めた医師養成の制度では、最初の2年間の研修期間に病理解剖を経験しその結果を検討会で発表することが決められています。病理解剖が医師としての研鑽の一環としていかに重視されているかが分かります。
病理解剖では生前の診断は正しかったのか、どのくらい病気が進行していたのか、治療の効果はどれくらいあったのか、といったことを判断します。病気の成り立ちを解明しようとする目的で行われます。画像検査など診断技術の進歩で昔ほどその必要性が高くないようにも思われることもありますが、病理解剖によって明らかにされる事実は医師にとって極めて貴重です。医療技術あるいは医学の質を保つために病理専門医の存在は不可欠です。
病理解剖を行うためには、ご家族のご理解とご協力をいただかなければなりません。真摯に治療を行い、真摯にご家族にご理解をいただく医療者側の姿勢もまた大切です。この剖検率は、当院がどれだけ患者さんの病気に真摯に向き合っているかを反映する指標のひとつともいえます。
当院の剖検率は全日本民医連のデータの中央値に比べると高くなっています。それぞれの病院の医療活動や病理専門医の有無などによって剖検率は影響を受けます。したがってどの程度の値が標準的かということは一概にいうことはできません。当院の場合、2011年より2012年が件数が増加しており、好ましい傾向になっていると考えられます。あらかじめノルマを作ることは不自然ですが、私たちの病院の医療活動の深まりを反映してこの値がさらに向上していくことが期待されます。
各指標の計算式と分母・分子の項目名 | 分母・分子の解釈 | |
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分子 | 病理解剖実施数(件) | 他病院に依頼して病理解剖した数も含める |
分母 | 死亡退院数(入院)+入院料を算定した外来死亡数(人) | * 坂病院では外来死亡患者に入院料算定していない |
年度 | 最大値 | 中央値 | 最小値 |
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2011年 | 20.6% | 1.3% | 0.0% |
2012年 | 10.0% | 1.4% | 0.0% |