全国的に当院のような急性期病院では、入院期間短縮は最優先に追求すべき課題となっています。毎年相当数の救急車をお断りしているのは、満床で入院ベッドがないことが多いためです。国は急性期の病床数を減らそうとしていますので、当院の病床数を増やすことができません。
また地域の高齢化に伴い虚弱で高齢の方々が多く入院してきます。以前であればすっかり安心できるまで病院で療養してもらうこともできましたが、現在では病気が治れば早々に退院して頂かなければならなくなっています。そこで、自宅に退院してからまた体調を崩して再入院する方も出てきます。当然、この再入院が多いことは望ましいことではありません。
この30日以内の緊急再入院割合は、私たちの急性期医療の取組みが十分なのかどうかを検証するために活用できます。ここでは予定の再入院や気管支喘息などで再入院があらかじめ予想される患者さんは省いて計算しています。しっかりと治療したか、退院後の生活について十分にご本人やご家族に注意事項を伝達できていたかなどが問われます。
全日本民医連のデータを見ると、その中央値は2.2%から1.7%に減少しています。一般にこの数値がどの程度揺れ動くものかまだわかりません。ただ、当院も1.9%から0.9%に減少していますが、その減少率が大きくなっています。グラフに見るように年間実数でも119件から60件に半減しています。
この原因の詳細はつかみきれていません。しかし2011年は東日本大震災の年です。当院もこの渦中で病院をあげて奮闘しました。この震災が2011年の数値に大きく影響している可能性があります。したがって一概に改善していると評価はできないかもしれません。2013年がどのような数値となるかが、今後を検討する上での焦点となります。
各指標の計算式と分母・分子の項目名 | 分母・分子の解釈 | |
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備考 | 1ヶ月の期間では対象数が少ないので3ヶ月期間毎の把握 | |
分子 |
その後、30日以内に同一傷病名または随伴症・合併症、併存症で予期しない緊急入院した患者(下記1-3に該当するもの)
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分母に定めた3ヶ月間に該当する退院患者が、その後30日以内に予期しない緊急再入院をした それぞれ、下記の時期に報告する
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分母 | 対象期間の退院患者数 |
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年度 | 最大値 | 中央値 | 最小値 |
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2011年 | 4.5% | 2.2% | 0.2% |
2012年 | 5.7% | 1.7% | 0.0% |