手術の最中に病変部を切り取り、手術中の短い時間の中で顕微鏡で病変が本当に悪性か、あるいはどの程度の広がりと深さを持っているのかなどを調べるのが術中迅速病理診断です。術前の検査では得られない直接的な情報を得ることができるので、正確に切除する範囲を決めることができたり、手術の方法を選択することができます。手術の成否に直接関わることがあるため、外科医はこの術中迅速病理診断を重視しています。この病理標本作製割合は、迅速病理診断の件数と同じ意味合いです。悪性腫瘍の治療の水準を推し量ることができる値といえます。すべてに迅速病理診断を行うことはなくとも、ある程度の割合で行われていることが期待されます。これもそれぞれの病院の医療の特徴を反映するので、一概に比較して論じるには注意する必要があります。
全日本民医連のデータを見ると中央値よりもやや当院の作製割合はやや高い値を示しています。しかし2012年の300床以上のDPC病院、基幹型臨床研修指定病院の条件を満たす14病院に限定すると下から3番目の位置に当院はあります。当院は急性期病院としてはそれ程多くないことが推測されます。病院ごとに対象とする臓器に特徴があるので安易な比較は出来ません。術前の検査で十分な情報を得ることが出来ていたためかもしれません。あるいは逆に追求が甘かったのではないかという指弾を退けることが出来ないのかもしれません。今後のこの数値の推移が手術のあり方の振り返りの資料になるとこと期待します。
各指標の計算式と分母・分子の項目名 | 分母・分子の解釈 | |
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分子 | 術中迅速病理標本作製患者数 | - |
分母 | 手術室で行った悪性腫瘍手術数 | 疑いがあり、結果として陰性であったものも含める |
年度 | 最大値 | 中央値 | 最小値 |
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2011年 | 100.0% | 18.7% | 0.0% |
2012年 | 85.3% | 17.4% | 0.0% |