中心静脈カテーテルとは、心臓に近い太い静脈(中心静脈)にとどくように考案された細くて長いチューブのことです。太い静脈にカテーテルの先があると、栄養価の高い点滴をすることができます。またカテーテルは入れたままが原則ですので何度も体に針を刺すという手間が省けます。しかし入れるためには危険を伴う手技が必要ですし、入れてからも細菌が血液の中に入らないようにしなければいけません。普通の点滴に比べて飛躍的に危険性が増します。
本来血液の中に細菌は全くいません。しかし細菌に汚染された中心静脈カテーテルが体の中にあると、血液の中で細菌が増えてしまい血液感染症になります。高い熱が出たり体の様々な場所に重篤な影響がでたりと大きな問題になります。したがって、この中心静脈カテーテルを体に入れている場合には、カテーテルを清潔に保つための取組みが重要ですし、安易に入れ続けることも避けなければなりません。これら予防策についての手順はあらかじめ病院で定められています。
感染対策は医療の基本です。当院が感染対策の一環として手順を整備しているか、その手順は有効か、あるいはしっかりと遵守されているかを考える際にこの指標を用いることができます。
2011年および2012年いずれもほぼ同数の発生数となっています。全日本民医連のデータと比較すると当院は中央値よりさらに低くなっており、相対的にはよく取り組まれているように思えます。しかし、データの解釈には注意が必要です。一概に数値だけで他施設との比較は困難です。病院の規模や診療科、血液培養などの検査の有無、 血流感染症の定義など様々な要因によって数値は変動するからです。
血液感染症は重症な病態ですのでなるべくその発生数を減らさなければなりません。現状維持ではなくさらに発生数を減らすためにはなにをなすべきか、今後さらに検討していかなければいけません。
各指標の計算式と分母・分子の項目名 | 分母・分子の解釈 | |
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備考 | ‰表示。全病棟を対象とする | |
分子 | 当月の中心静脈カテーテル関連感染患者数 |
発症病名にカテーテル感染症のある患者 DPCデータを使用する場合、様式1の入院後発症疾患名を用いて算出できる。 |
分母 | 当月患者の中心静脈カテーテル留置のべ日数 | 【留置のべ日数がカウントできない場合の代用】高カロリー輸液が投与されたのべ日数(当該病院で使用している高カロリー輸液の点数コード使用日、Fファイルの点数コードを使用) |
年度 | 最大値 | 中央値 | 最小値 |
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2011年 | 27.0‰ | 4.4‰ | 0.0‰ |
2012年 | 14.5‰ | 4.5‰ | 0.0‰ |