手術部位感染(SSI)を予防する対策の一手段である、予防的抗生剤投与の実施率を示します。術前処置・麻酔の標準手手順の確立および徹底の度合いを示しています。

2014年度の結果の解釈

SSI予防措置の徹底度の部分的指標であるため、これをもって手術部位感染の低下を示すものではありません。また、標準的手順の遵守度を示すわけでもありません。

直近の5年間において予防的抗生剤投与が未施行であったのは、2012年の超緊急手術における1件のみで、100%の投与施行率を保っています。これは、術者・麻酔科医による手術部位感染対策に対する関心度の高さと、対策の徹底化に対する意識を反映しているものと思われます。

今後も、予防的抗生剤投与は当然であるという意識の下、全件投与を継続し、SSI対策として他の手法も院内標準化に組み入れていくように検討していきます。

指標の計算式、分母・分子の解釈
  各指標の計算式と
分母・分子の項目名
解釈
備考 診療科により、あるいは医師により投与方法が異なるなどの場合も想定し、3ヶ月毎に各診療科10症例以上となるよう調査期間を設定すること
分子 執刀前1時間以内に予防的抗生剤を投与した数 -
分母 クラス2以下入院手術数(CDCによる清浄度が清潔および準清潔手術)
  • 周術期の感染予防として抗生剤の予防投与が必要な手術。周術期感染予防として抗生剤を使用する対象となるのは、基本的に血管、骨などの無菌部位(クラスⅠ)、または管理された明らかな汚染・感染のない消化管等(クラスⅡ)の手術であり、消化管穿孔や開放性外傷を伴う緊急手術などは除外する。基本的に予防抗生剤投与の必要のない手術は対象外
  • 「清浄度」は手術室清浄度ではなく「手術創清浄度分類」
  • 手術室で行った入院手術のうち、「周術期感染予防として抗生剤の予防投与が必要な手術」を表現するのに、創分類Ⅱ以下とした。
※参考:JANIS(厚生労働省院内感染対策サーベイランス)
医療の質向上・公開推進事業」データより
(全日本民医連 2011年60施設、 2012年70施設、 2013年83施設、2014年54施設参加)
年度 最大値 中央値 最小値
2011年 100.0% 92.5% 25.0%
2012年 100.0% 96.8% 27.2%
2013年 100.0% 96.8% 51.2%
2014年 100.0% 99.3% 67.5%