褥瘡じょくそうとは圧迫によってできる皮膚や皮下組織の壊死のことです。とくに重症の患者さんの治療中にできてしまうことが多く、特に体の不自由な高齢者にできやすいこともよく知られています。数時間の圧迫でできてしまうので十分な注意が必要です。日本褥瘡学会という学会があるように医療や看護の中でも大切な領域と考えられています。栄養状態や自分で体を動かす能力の有無などの患者側の要因に加え、体位交換やエアマットなど適切な予防策をとっていたかなどの医療側の要因も関係しています。当院ではこの褥瘡新規発生率をゼロにすることは看護ケアの質を高めていくための重要な目標となります。

全日本民医連の中央値は1.1〜1.2%と3年間で安定しています。全国的に発生状況は大きな変動がないことが伺われます。

ここに示している当院のデータは、全日本民医連の指定したものとは別に当院の考え方にしたがって集計しています。そのため全日本民医連のデータと簡単に比較することはできません。

褥瘡の年間総発生数を示すと2011年は86件、2012年は115件、2013年は82件となっており、この3年間では最も少ない発生率となっています。どのような患者さんが多く入院していたかなど、さらに詳細に状況を把握する必要はありますが、総数が減ることが最も端的に取組みの成果を反映しています。

当院ではWOC看護認定看護師(皮膚・排泄ケア領域の認定看護師)や医師を中心に精力的に褥瘡治療に取り組んでいます。その存在意義は院内ではますます高まっています。2013年の改善は、特に病棟看護師の意識が向上と対応策が功を奏してきているのかもしれません。来年もさらに低い発生率を目指したいものです。

指標の計算式、分母・分子の解釈
  各指標の計算式と
分母・分子の項目名
解釈
分子 入院後に新規に発生した褥瘡の数(別部位は1として計測) ひとりの患者でも複数発生した場合はその個数を算出する。
分母 調査月の新入院患者数+前月最終日在院患者数(24時現在) -
医療の質向上・公開推進事業」データより
(全日本民医連 2011年60施設、 2012年70施設、 2013年83施設参加)
年度 最大値 中央値 最小値
2011年 7.3% 1.2% 0.2%
2012年 6.9% 1.2% 0.1%
2013年 6.9% 1.2% 0.04%