リハビリテーションの目標は身体機能の改善と同時に社会への復帰です。その意味で最も重要なアウトカムの一つです。診療報酬で回復期リハ病棟の施設基準の一つに採用されています。

診療報酬上の定義に添っており、「復帰」の定義は明瞭です。人数の算出も困難ではないので誤差はほとんどないと考えられます。さらに、疾患別に集計すればそれぞれの施設の特徴も伺うことができます。

2015年度の結果の解釈

2015年は81.8%と2014年の74.9%から向上しました。当院は診療報酬では回復期リハビリテーション病棟Iに加え体制強化加算を取得しています。この体制は診療報酬では最も人員配置が多く、達成すべき目標も高く設定されています(回復期リハビリテーションには部分的にpay for performanceが導入されています)。病床運用の改善等にも努め、これらの効果が今年の自宅退院率に影響したのではないかと推測されます。
 当院の結果は、全日本民医連のデータとの比較ではほぼ中央値と同等の値でした。対象とする患者像は病院によって特色があると考えられるので、一概に比較して論評することはできません。疾患別と重症度別の在宅復帰率をそれぞれの施設間で比較することができれば、当院の特色を検討することができると思います。

改善策としては、入院早期からの家族への働きかけが重要です。特に障害が重症な患者の家族に対して面談や情報提供を緊密に行う必要があります。病棟でのケアへの家族の参加を促すことも試みてよいと考えられます。

指標の計算式、分母・分子の解釈
  各指標の計算式と
分母・分子の項目名
解釈
備考 回復期リハビリ病棟を持たない病院は対象外
分子 退院先が在宅の患者数 診療報酬上の在宅復帰率に準ずる
分母 回復期リハビリ病棟の退院患者数
医療の質向上・公開推進事業」データより
(全日本民医連 2012年70施設、 2013年83施設、2014年51施設、2015年54施設参加)
年度 最大値 中央値 最小値
2012年 92.7% 79.3% 67.0%
2013年 95.0% 79.3% 67.1%
2014年 90.0% 79.5% 57.7%
2015年 93.9% 81.3% 68.3%