要約

実務者が集まる回復期運営会議で、「協働のシステムは存在するが、一体感が薄い」「看護師の交代が日常的にありADLへの理解が低迷する」「スタッフは若い世代が多く適切な対応が難しい」などの課題が抽出され、患者さまのベッドサイドで行う「目標共有カンファレンス」を開始した(回復期リハビリカンファランスの前に)。開始後、3つの調査を行った。

スタッフへのアンケート

日常の業務に有効な点として、リハ・病棟の6割が日常のケア・訓練の中で「ADLへの具体的な関わりができるようになった」「動作確認し介助方法の統一ができた」「回復期カンファランスの中で話し合いの時間が持てるようになった」と回答した。また、病棟90%、リハ70%がカンファランスの中で「病棟でのADLの能力」「患者の気持ちや希望」「社会背景」など患者の新たな情報を得る事があると回答した。

電子カルテからの調査

目標共有カンファレンスで検討し、回復期カンファレンスで設定された目標の一か月後に達成率は68%であり、良好な結果だった。

患者さまへ聞き取りを実施

概ね良好な解答であったが、「より分りやすい言葉遣いや話し方」「一緒に考えたいという姿勢」「日常のケア・リハビリ場面でのやり取りの工夫の必要性」などが課題として抽出された。

患者さまのベッドサイドで改めて話し合ってみると、把握していなかった患者の情報が得られ、日常のケア、リハビリのより具体的な関わり方が検討できる場となっていた。入院初期より具体的な目標や役割分担ができるなど、すべての患者さまで入院早期から目標がたち、ADLへの具体的な関わりができる手段となっていた。また、目標共有カンファレンスは、スタッフの経験値に差があったとしても、互いの役割を理解しあい、患者の主体性を引き出す機会となり、退院後の生活に根付くような提案を作りあげる手段として有効であると考えられる。