産業医学センター

仙台市青葉区上杉3-2-28 アクス上杉3F

調査事例

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  • 「中小企業者の営業とくらし、健康調査(1998年)」の健康項目の結果の特徴

    はじめに

    今回の調査は、3年前の10万人調査の引き続くものであるが、わずか2月間に7万人を超して回収された。自営業者の健康状態がどうなっているのか、前回の調査で現れた健康破壊の深刻さとそれが営業不振と労働実態によって生じていることが再度証明されるのか、3年間の経過でどう変化しているのか、が注目点である。その意味で、結果をみると、前回の調査結果が実に見事に裏づけがなされたたことと業種分析によって一層、健康と営業、労働が関係することが示された。2回の調査全体によって、我が国の零細事業所の不健康実態が鮮明に明らかにされたといって良い。

    1995年調査の概要(日本産業衛生学会誌1998;40:222-226 )

    1. 労働時間が全般に長く、長い群程、加えて休日も取れない状況にあった。1日14時間以上働く群の3/4は、「翌日に持ち越す疲労」を訴えていた。更に、労働時間が増える程に「健康不安」「翌日に持ち越す疲労」「医師に休めと言われても休めず」「健診を3年以上受けず」の比率が増す事実が見出された。
    2. 対象事業所の62%は、前年より売上げを減らしていたが、売上げが上がった群、同じ群、そして売上げがより減少するにつれ「健康不安」「通院中の病気がある」「1年以内の入院」「医師に休めと言われた人」「休めと言われても仕事で休めなかった」いずれも増加していた。
    3. 調査前1年間に入院した約8000人の内、73%程の人は、「医師に休めと言われながら、仕事が理由で休めなかった」人であり、そういう状況でない中で入院した人達の3倍に達していた。

    いずれも、我が国で初めて明らかにされた事実であり、労働条件と営業、暮らしが如何に健康状態に関わっているか、そして「業者にも十分な健診機会と補助を」「国保にも傷病手当を設け安心して療養出来るように」という改善要求の妥当性と緊急性が示された。

    1998年調査の概要

    今回の調査における健康項目は、前回と全く同じである。回答数も違うしどの位同じ人が含まれているかは明らかでは無いが、10万、7.2 万人という規模の大きさからみて十分比較出来ると考えられる。

    (A)労働時間、睡眠、休日、売上げ状況と健康項目について

    1. 労働時間と睡眠、休日の関係
      1. 1日の労働者時間長い群では、睡眠時間が少ない。
        14時間超群の40.1%が、睡眠5時間未満である。67.2%が、睡眠6時間未満で、12時間超群の52.1%が、睡眠6時間未満である。
      2. 1日の労働者時間長い群では、休日も無い人が多い
        14時間超群において、休日を全く取っていないとするものが29.7%と、他の労働時間より飛び抜けて多い。更に、労働時間が長くなる程、休日を取っていない人の割合が高率になっている。
    2. 売上げ悪化と健康項目の関係(表1)
      1. 健康不安、疲労、通院中の病気には、売上げの影響が大
        昨年比で、売上げの悪化が目立つ程、「健康不安」「翌日に持ち越す疲労」「通院中の病気のある」は高率になっている。
      2. 入院、医師から安めの指示、仕事で休めずは、売上げの影響が大きい
        昨年比で、売上げの悪化が目立つ程、「1年以内で、入院した人」「医師により休めの指示有り」「休めと指示されても仕事で休めず」という人も高率であった。
      売上状態と生活・健康状態(単位:%)
      売上昨年比該当人数健康不安ある通院中の病気ある翌日に持ち越す疲労ある1年以内病気入院ある医師から休めと指示ある指定されても仕事休めず
      合計72,467(100.0%)61.945.661.98.633.647.0
      増えている2,335(3.2%)54.337.260.07.129.644.1
      同じくらい11,538(15.9%)55.840.457.77.429.443.4
      1割以内減12,663(17.4%)59.843.160.07.631.545.0
      3割以内減27,164(37.4%)63.645.663.58.232.849.5
      5割以内減9,323(12.8%)66.451.065.010.238.648.8
      5割以上減7,349(10.1%)68.255.364.212.442.745.1
      無回答2,095(2.8%)
    3. 長時間労働と健康項目との関係
      労働時間が長い方が、「翌日に持ち越す疲労」が高率で、「健康不安」も高率のなる傾向にあった。長時間労働は、健康不安、疲労に影響している。
    4. 睡眠不足と健康項目との関係
      睡眠時間が短い程「健康不安」「翌日に持ち越す疲労」が高率である。睡眠不足は健康不安、疲労に影響している。

    (B)産業別の傾向

    1. 大分類における特徴(表2)
      1. 「健康不安」は、全体が6割台で差が無く高率であるが、料理・飲食関係が最高率で65.4%。
      2. 「翌日に持ち越す疲労」も料理・飲食関係が最高率で67.9%、平均より6%、最低より約10%高い。
      3. 「通院中の病気有り」は、全体が4割の後半で余り差無いが、製造加工が最高率で、・49.4%。
      4. 「1年内に入院有り」は、卸・小売りが最高率で、9.2%ながら、全体ほとんど同じ水準にある。
      5. 「医師に休めの指示有り」は、料理・飲食関係36.3が最高率。全体は3割前半で余り差無し。
      6. 「休めの指示受けながら、仕事で休めず」は、料理・飲食が19.4%で最高率。全体が、10%後半で、差余りなし。
      7. 「医師に休めと言われた人の中で、仕事の理由で休めなかったことある」も、料理・飲食関係が最高率55.3%で、平均より数%、最低より8%高率。全体は、4割台後半にある。
      健康項目の最高該当立の産業分類
      健康不安あり料理・飲食関係
      翌日に持ち越す疲労料理・飲食関係
      通院中の病気あり製造加工業
      1年以内に入院あり卸・小売業
      医師に休めの指示あり料理・飲食関係
      休めと言われ仕事で休めず料理・飲食関係
      休めと言われた中で仕事で休めなかった人料理・飲食関係
    2. より細かい産業・職種別の傾向
      1. 「健康不安」では、平均より10%超す業種は無い。書籍販売の68.3%、次いで代行業の67.3%、料飲店の66.8%が続く。不動産とコンビにが65.2%。
      2. 「翌日へ疲労蓄積」では、料飲店が、69.5%でトップ、次も、同種のレストランの66.9%、更に、情報の66.7%、コンビに65.2%、食料品製造が65%と続くが、全体に平均との差は少ない。
      3. 「通院中の病気有り」では、不動産が、57.1%とトップ、食料品製造と各種代行業が54.8%、玩具・雑貨製造が54.3%、青果販売53.2%と続く。
      4. 「1年以内に入院有り」は、代行業が、14.4%でトップ、不動産13.2%、漁業12.4%、玩具・雑貨製造12%、精肉販売11.9%と続く。
      5. 「医師からの休めの指示有り」は、食料品製造41.4%がトップ、次いで不動産の38.6%、玩具・雑貨製造の38.5%、料飲店37.5%、電気機器製造37%となる。
      6. 「医師に休めの指示有る人の中で、仕事で休まず」は、代行業が67.7%と群を抜く。喫茶店55.4%、料飲店54%、金物、工具販売54%、鮮魚販売53.6%が続く。
      7. 「健診3年以上受けず」は、喫茶店が39.6%でトップ、コンビにが38.5%で続き、後は、情報の38.1%、医療機関の38%、鮮魚37.1%と続く。
    3. 健康項目の上位の登場回数の検討

      各健康項目につき上位5位までの業種を挙げ、その登場回数を多い順にみてみると、4回は、代行業、不動産、料飲店、食料品製造、3回は、玩具・雑貨製造、コンビに、2回は、喫茶店、情報、鮮魚販売、と一部の業種に上位が集中する傾向をみせた。1回は、青果販売、精肉販売、金物・工具販売で小売り業が顔を出した。大まかな産業・業種の傾向では、サ-ビス関連と飲食関連に小売業が問題の多いところともいえる。 これらの業種の健康項目が悪い背景を検討してみると、表3のようになる。「休日が無い」「1日労働時間が12時間以上」「睡眠時間6時間未満」「売上げ昨年比3割以上減少」を背景因子として取り挙げ、健康項目に大きく影響する年齢を記した。調査票では、年代を問うているので、年代の中央値を代表値として計算した推定平均値を示した。

      健康関連項目上位5業種における背景要素該当比率
      -該当数休日無睡眠6H以下労働時間12H以上売上げ昨年比3割以上減推定平均年齢
      -<-------単位:%--------->単位:歳
      平均-727122353
      代行業4838151752
      不動産482361660
      料飲店4946182753
      食品製造41533291859
      玩具・雑貨製造3132562760
      コンビニ3364340753
      喫茶店21243311853
      情報21134181349
      鮮魚2736332357

      まず気付くことは、上位に多く顔を出している業種は、「休日休まない」「長時間労働」「睡眠不足」「売上げ減」の比率が平均より高い(ゴジック)のが、不動産、玩具・雑貨製造、鮮魚販売以外は全て3つ以上認められている。この点は、自営業者の健康障害の要因が、労働・生活の状況の困難さにあることが見事に示された。除いた3職種は、平均年齢が60歳が2つあること57歳と高いので、年齢をおして自営業を続けることに原因があると推定される。

      今回の調査は、前回の10万人調査の示した全てを裏づけた。しかも、この間に、全商連共済会は、健診の内容の充実をはかり、受診率の向上に力を入れてきた。種々の調査活動にも力を入れ、より一層多面的に自営業者の健康の実態を示してきた。高齢化する業者は、深刻な不況や貸し渋り、後継者の展望の無い中、際立った健康破壊状態にあるが、比較的若い業種においても、長時間労働や休日返上、睡眠不足の下で、蓄積的疲労となり、健康不安にかられ、病をおして働き続け、入院しても元気に現場に戻れず、ごく短い期間で死も迎えたり、あるいは自殺者を出したりしている事実が我々の前に突きつけられている。

      前回の調査報告集にも紹介したが、自営業者の中にも「自営主」「自営主の妻」「その家族」「社長」「従業員」によっても健康を阻害している要因も少しづつ違っていて、健康障害には、労働条件やくらしの厳しさ、生活内容が深く関わっていることが示されている。「成人病」に代わって使われている「生活習慣病」という概念は、どちらかという病気の原因を個人の嗜好や運動不足に帰結してしまう傾向が強い。2回の全国調査等全商連共済会での調査は営業成績や労働条件は、健康を阻害している要因にとして大きく関わっていることが示された。こうした背景に対しての活動を引き続き強化する必要がある。

  • 高い医療従事者の喫煙率、夜勤・残業が大きく影響

    • 仙台錦町診療所・産業医学センタ-と同じ財団法人(宮城厚生協会)に属すN病院(ベット160)で、職員254名を対象に「喫煙と健康に関するアンケ-ト」(厚生省研究班による喫煙アンケ-ト、健康と喫煙に関するアンケ-ト、喫煙心理アンケ-トをもとに作成)を取り、同病院禁煙外来の横山成紀医師、伊藤裕子保健婦他健康管理室のスタッフと検討した。
    • 調査期間は、1998年6月、回収率は、約84%。(看護婦84%、技術90%、事務87%、医師48%)
    • 喫煙状況  全体では、30%。男50%で、日本全体よりやや少なめであったが、女の方は、24%と数%高かった。20~30代では、男60%、女31%と男女共やはり全国値を上回っていた。
    • 周囲の喫煙状況との関係周囲に喫煙者いる人の喫煙率35%、いないもの6%と有意の差あり(p<0.001 )
    • 過去の禁煙教育との関係受けた人が、16%のみ。受けた人の18%、受けない人の30%が喫煙しているが、有意の差はなし。
    • 労働条件(夜勤・残業)との関係夜勤者の喫煙率36%、そうでない人のは22%(p<0.05)、月残業時間20時間超エル人の喫煙率は55%、越えない人の26%(p<0.01)と共に有意高い結果であった。
    • 喫煙の知識、健康感との関係喫煙の有害性についての知識水準は、喫煙群、非喫煙群間の差は無い。一方、健康でありたいという群では、そうとも思わない群より喫煙率は低い傾向にあった。
    • 結論
      • *健康を進める医療従事者の喫煙率が日本全体のよりも高い。
      • *禁煙教育が不十分である。
      • *夜勤や残業が、喫煙習慣に大きく影響
      • *知識と共に健康感が重要
  • 健診での労働・生活と健康

    我々が産業医・産業保健契約をしているA生協の定期健診の97年度の受診率は、全体で、88%、正規84.5%、パ-ト88.6%、嘱託80%で、それぞれ、昨年より若干低下しています。4080名の時点での総合判定は、「正常+ほぼ正常」は、5.1 %、「経過観察・生活上の注意」は、19.8%「要精査」は51.6%、「要治療」は、6.5 %、「治療継続」は、17%です。昨年との比較では、「正常+」「経過観察」が、1%以下で減って、「要精査」が、2%増えてます。わずかの差ではありますが、健康状態の悪化と放置傾向が続いていると言えます。

    代表的な項目の血圧は、「正常」が、80%、「境界域」が、12.5%、「高血圧」と「治療中」は、5.6、5.3 で、計10.9%です。体重は、「正常」は、53%しかいません。「肥満」では、+10%以上が、24.9%、+20%以上が、10.8%、+30%以上が、4.2 %です。「やせ」は、全体で、21.5%、男女共、昨年同様に若い世代程多いのが特徴です。

    男の喫煙率は、69%で、前年の64.6%より増加しています。女の場合も、正規、パ-ト共に全国平均の14%に比して32%、22%とかなり高率です。毎日の飲酒者は、男全体では、32%、女では、正規7%、パ-ト8%でした。この割合は、昨年並みでした。

    睡眠時間では、7時間未満は、男で約33%、女36%と昨年並みに高率です。5時間代も男8%強、女7%と大変です。特に、男の20代では、13%程が5時間台ですから、労働による疲労を増強する潜在的危険があります。

    毎日食べない人は、男では、約11%、女では、正規5%、パ-ト約3%でした。月10日以上抜く割合は、男では、約2割、女全体で、13%強でした。昨年より状況は、悪化しています。

    「運動を定期的にしている」は、男で、9.4%、女17.6%で、昨年の11.3%、22.4%より減少しています。「ほとんどしていない」の方は、男66.4%、女70%で、昨年62.8%、52.7%よりやはり悪化しています。

    97年度の定期健診、成人病健診受診者の中で採血結果のある人の問診票を分析の対象とし、総拘束時間の長さと睡眠・スポーツ習慣・朝食抜き・タバコの関係を問診表から検討しました。ここで、総拘束時間とは、1日所定労働時間+月残業時間÷25+往復通勤時間(分)で計算しました。結果としては・拘束時間が長い程睡眠は短い(表1)。・スポーツ習慣は、正規とパート共総拘束時間が長い程みられない(表2)。・朝食を抜く人は、正規で総拘束時間が長い人で多い傾向(表3)等が判明しました。

    以上より、この生協労働者の健診結果と労働・生活状況、嗜好状況は悪化傾向にあり、特に、労働時間と通勤時間を加えた時間による制約がその背景にあることがうかがえます。安全衛生を中心に、労使が積極的にこの点での改善に取り組む必要があることを訴えています。

    表1 拘束時間と睡眠時間との関係
    総拘束時間<5<7<9総計
    <108253171452
    -1.8%56.0%37.8%-
    <1230489233782
    -3.8%62.5%29.8%-
    <141712844200
    -8.5%64.0%22.0%-
    総計578994621488
    表2 拘束時間とスポーツの習慣
    総拘束時間定期的時々しない総計
    <65074340941
    -53.9%46.1%0.0%100%
    <88896431615
    -14.3%15.6%70.1%100%
    <101023102135
    -7.4%17.0%75.6%100%
    総計60755523473509
    (パート)17.3%15.8%66.9%100%
    表3 拘束時間と朝食抜き日数との関係
    総拘束時間なし<5<10<20>=20総計
    <103548231851454
    -78.0%1.8%5.1%4.0%11.2%100%
    <1259126214692776
    -76.2%3.4%2.7%5.9%11.9%100%
    <1415657831207
    -75.4%2.4%3.4%3.9%15.0%100%
    総計11454152721761480
    (正規)77.1%2.8%3.5%4.8%11.8%100%

    注意:各表最下段の「総計」には、拘束時間で表示している。 各表以外の人も含んでいるために右側の「総計」とは異なる。

  • 投稿論文のご紹介

    今回は、最近の投稿論文の紹介とします。別冊を差し上げられるものがありますので、御希望の方は、メ-ルにて、御申し込み下さい。但し、御一読後に、若干の御感想を頂ける方と致します。

    1. 「深夜労働が心身に及ぼす影響と管理者に求めたいこと」
      特集:二交替制導入を前に
      看護管理 第7巻(4)P270~279、1997
    2. 自営業者の自殺に見る労働実態と健康実情
      -全商連共済会死亡資料給付より-」
      社会医学研究 第15号 P15~18、1997
    3. 「鉱山労働者の塵肺の離職後進行の分析」
      病体生理誌 Vol..31(3) 通巻83号 P34~37、1998
    4. 「深刻な夜勤・長時間労働による健康破壊」
      特集:労働法制改悪と国民の健康
      月間保団連 No. 581 P35~38
    5. 「THE PROGRESSION OF PNEUMOCONIOSIS AFTER RETIREMENT 」
      THE PROCEEDING OF THE NINTH INTERNATIONAL CONFERENCE ON
      OCCUPATIONAL RESPIRATORY DISEASES 」
      近日発刊予定(校正終了)
    6. 「10万人を対象とした『営業とくらし、健康調査』にみる
      零細事業者・自営業者の労働・生活・健康状態の特徴」
      産業衛生学雑誌 近く掲載予定(校正終了)
  • ある職場での禁煙の状況調査

    私どもが産業医契約を長く担うA生協では、健診や診療の機会、各種学習会で禁煙の意義を説いてきている。個々には、禁煙をする人を生んできた反面、特に若い人での喫煙者が増えている。

    この人達に、調査票を送付し、禁煙成功の理由についての回答を求めた。回答は、13名であった。男7名、女6名である。

    • 禁煙回数;1回3名、~4回7名、5回~2名
    • 禁煙動機;周りへの迷惑6名、害理解4名、家族・友人勧め3名、病気2名、医師の勧め1名、子供誕生1名、
    • 禁煙中喫煙したかったのは;アルコール7名、イライラ7名、周りの勧め4名、体重増加3名、コーヒー2名、
    • 切り抜け方;ガム7名、水・茶・コーヒー5名、じっと我慢5名
    • 成功理由;宣言4名、家族を思う2名、生活パターン変えた2名、喫煙用品廃棄1名、宴会欠席1名
    • 禁煙で良くなったこと;身体の調子7名、味6名、人への不快感与え心配無し6名、歯磨き時吐き気消え5名、小遣い減らず4名他

    以上の結果を参考に、現喫煙者への保健指導を強めていく予定である。

  • 女子家庭向け配達者の生理休暇と生理障害

    今迄は、男だけの社会と言われた職場にも最近女子の進出が目覚ましい所が増えています。宅急便等、品物の家庭への配達業務もその一つです。みやぎ生協でも、家庭班に自ら運転し、配送する業務につく女性が増えています。一方、運転中は、女性の場合、トイレの心配は、男性よりも深刻ですが、生理中の悩みは女性特有のものです。元々、男社会ですし、管理者は男性、又、慣れてもいません。その中で、言い出せなくて悩んでいる、との声により、共同購入支部長会議、安全衛生委員会、労組と協力して調査しました。未発表ですので、ここに報告しますが、調査期間は、96年7月です。

    ★回収状況 59枚回収率 70.2%
    正規 8枚42.1%
    パート 51枚78.5%
    ★調査結果(%)正規パート
    ・生理休暇取得状況
    取っている13.33.9
    取りたいが取れない20.018.6
    取らない53.390.2
    ・生理の周期
    不順46.73.9
    時々不順26.837.3
    ・苦痛の割合
    非常に苦痛33.34.0
    苦痛53.354.9
    ・鎮痛剤
    毎回飲む33.34.0
    時々飲む20.020.0
    ・就業後の生理
    ☆変化有り46.735.3
    ☆変化の時期
    半年以内26.723.5
    1年以内26.77.8
    ☆変化の内容
    周期変化26.735.3
    量の変化40.029.4
    生理痛40.029.4
    無月経13.32.0
    ・生理時悪化する症状
    腰だるい33.35.9
    疲れやすい33.37.8
    肩凝り20.05.9
    背中だるい20.0
    ・生理時のみの症状
    腰だるい26.733.3
    腰痛20.011.8
    気分すぐれず20.029.4
    考えまとまらず20.03.9
    イライラ40.029.0
    根気無し20.07.8
    おこりっぽい20.021.6
  • 自営業者共済死亡給付分析

    全商連共済会死亡給付に見る自営業者の健康実態

    1997年12月1ヶ月の同会の死亡給付請求は、142名、男102名、女40名。
    年齢、・病気、・職業、・初診から死亡迄の期間(以下期間)で見た。

    • 年齢から見た傾向
      1. 30歳代は、男性にのみ、3名。もっとも若い方は、33歳で、胃癌、次いで35歳のB型とC型肝炎、38歳の急性心筋梗塞。死亡迄の期間は1年以内。
      2. 40歳代は、男7名、女4名。死因は、男女とも悪性腫瘍が多い。期間は、1年半以下。他には、急性心筋梗塞、心不全等。
      3. 50歳代は、男女とも最多、44名(43%)、13名(33%)。病気は、男の半数が、悪性疾患、あとは、肝臓疾患で7名、心疾患6名、脳卒中5名 等です。女は、癌が多く10名(77%)。
      4. 60歳代は、男38名、女13名と50歳代に次いで多い。疾病傾向は、50代と似た傾向にある。男の癌は、肺癌が8名と悪性疾患の40%余り。
      5. 70代は、男8名、女7名、男の肺疾患が4名と癌を超す。
    • 死亡病名から見た傾向
      1. 悪性疾患:男では、48名(48%)、女26名(62%)。
        ◇部位は、男、肺(12)胃(9)肝(8)大腸(6)膵(3)の順、女、 乳(6)胃(4)子宮(4)大腸(3)等。
        ◇期間は、2年以上は、3名と極めて少数。肺癌は、全員が2年以内。男 女13名中9名は半年以内死亡。
      2. 急性心筋梗塞は、男のみ8名、年齢は、30~60歳代。当日死亡の3名は 即死。
      3. 脳卒中は、男9名、女2名。倒れて、入院したまま亡くなる人多し。
      4. 他の疾患では、男の肝疾患8名、肺疾患7名が注目すべきもの。
    • 職業から見た傾向
      • ◇男は、製造加工、建設、サ-ビス、飲食、小売り流通の順。
      • ◇女は、建設、小売り流通、サ-ビス、飲食、製造加工の順。
      • ◇職業間で年齢分布は差なし。
      • ◇疾患は、男の製造に、悪性疾患多い(69%)。飲食に、脳心関連が、7 名(64%)。建設に、肝疾患が多い。女では、各職種に癌が多い。
    • 初診から死亡迄の期間の特徴
      • ◇ 死亡状態での搬送が、4名、心不全2、急性心筋梗塞1。
      • ◇ その日内 死亡5名。脳卒中3名。1日以内が5名。脳心4名。
      • ◇ ここ迄合計14名、50歳代半数
      • ◇1月以内計が26名(18%)
      • ◇3月以内計37名(26%)。疾患の特徴は、癌より脳心疾患が多い(54%)。1月以内癌死亡4名(肝3)、発見の遅れ目立つ。
      • ◇6月以内計死亡58名(41%)
      • ◇1年以内計87名(61%)
      • ◇2年以内計 107 名(75%)。

      以上から見ると、申告者の記入した初診から死亡迄の期間は、半年以内が4割、1年以内が6割と極めて短く、若くして亡くなっている。女性を含めて悪性疾患が高率だが、この背景には、健診受診率の低さ、仕事の為精密検査が仲々受けられない、等が「10万人調査」等から推察される。自営業者の健康を守る為、健診機会の拡充、医療機関への受診を容易にする「国保にも休業補償」等の施策の必要性を示唆する結果である。

  • 過去の報告例

    • 塵肺
      1. X線所見の離職後進行
        日本産業衛生学会1994、95年報告)
      2. 離職後進行のポジトロンCTの評価
        (国際職業性肺疾患学術会議1997年、日本産業衛生学会1998年報告)
    • パラコ-ト散布労働者の健康調査報告
      1. 宮城県北5農協での症状・肺機能健診
        (日本産業衛生学会1985年報告;日農医誌35(4)804~9、1986 )
      2. ある公営農園の調査
        (日本産業衛生学会1989年報告)
    • VDT労働者の健康調査
      1. みやぎ生協経理事務での調査
        (日本産業衛生学会1986年報告)
      2. 派遣労働者における実態
        (日本産業衛生学会1988年報告)
      3. VDT健診における視機能検査の改善
        (日本産業衛生学会1995年報告)
    • 夜勤労働
      1. パン製造工の経年調査
        (日本産業衛生学会1983、87、92、93年報告)
      2. .「あるパン製造工場の男子常夜勤労働者の血圧への影響」
        (広瀬俊雄他、日本産業衛生学会誌 1995:37:43-46)
      3. 惣菜工場に深夜働く主婦の健康障害
        (日本産業衛生学会1991年報告;労働科学71(6)P233~241、1995)
      4. 看護労働
        (日本産業衛生学会、社会医学研究会1996年報告、看護管理7(4)P270~9)
    • 過労死
      1. 東北地方の過労死の実態
        (日本産業衛生学会東北地方会1989年報告)
      2. 「過労死と健康管理」
        (サンユ-会産業医・実務担当者合同セミナ-パネルデイスカッション1996年)
      3. .「広がる夜勤、健康影響とその予防対策」
        (産業労働者における循環器疾患の予防管理-日本産業衛生学会総会パネル1997年)
    • 頸肩腕障害
      1. POSの評価
        (日本産業衛生学会1990年報告)
      2. .診療経験からの新認定基準の評価
        (日本産業衛生学会頸肩腕障害研究会1997年)
    • 腰痛症
      1. ビデオを用いた保母の作業態様の分析
        (日本産業衛生学会1984年報告)
      2. 生協家庭班配達労働者の状態
        (産業疲労研究会1994年報告)
    • 中小企業
      1. 環境因子把握の重要性
        (日本産業衛生学会中小企業衛生問題研究会1987年報告)
      2. 社会情勢の変化と中小企業の健康問題
        (同会シンポ)-
    • 第1線医療機関の診療と健診活動
      (産業医学 1991;33:273)
    • 小規模事業所の産業保健活動をめぐって
      (日本産業衛生学会総会シンポ1995年)
      (現場の実際と対策.産衛誌 1995;38:S58)
    • 問題点の多い事業所訪問による指導活動の検討
      (日本産業衛生学会中小企業衛生問題研究会1994年報告)
    • 零細事業・自営業者
      1. 健診結果にみる零細事業所・自営業者の労働・生活内容と健康状態の一考察 (産衛誌 1995;37:27)
      2. 労働・生活内容を考慮した保健指導の重要性について -自営業者健診の事例をふまえて- 産衛誌 1996;38(8) :267
      3. アンケ-ト調査と健診に見る零細事業者
        自営業者の労働・生活・健康状態の特徴について
        産衛誌 1996;38:S189(皂10万人を対象とした「営業とくらし、健康調査」にみる零細事業者・自営業者の労働・生活・健康状態の特徴産衛誌投稿中)
      4. 自営業者の自殺の実態と背景
        日本産業衛生学会中小企業衛生問題研究会1997年報告;社会医学研究15号P15-18)
    • 健康教育
      1. 問題点の多い事業所訪問による指導活動の検討
        (日本健康教育学会1994年報告)
      2. 非専属の産業医・産業看護職等のチ-ムによる保健指導健康相談活動の経験-成果と問題点
        (日本健康教育学会1997年報告)
      3. 頸肩腕障害予防対策における健康教育の役割
        (日本健康教育学会1997年報告)
    • メンタルヘルス
      1. 産業現場のストレス対策-医療機関の役割
        (日本産業ストレス学会シンポ1995年)
      2. 診療・健診でのストレス関連疾患への取り組み
        (日本産業衛生学会東北地方会1996年報告)
    • 産業医活動
      1. 分散職場での産業医活動-みやぎ生協の経験
        (産業医・産業看護全国協議会シンポ1997年)
      2. 非専属の産業医・産業看護職等のチ-ムによる保健指導健康相談活動の経験-成果と問題点
        (日本産業衛生学会東北地方会1997年報告)