高齢者の三人にひとりは1年間に一度以上の転倒を経験するとされ、人口動態調査(厚生労働省)の統計では、転倒・転落・墜落による死亡は65歳以上の不慮の事故による死因の第一位となっています。 また転倒は、高齢者の骨折の主原因であり、要介護の主要な原因のひとつでもあります。 転倒転落事故は日常生活の中でも発生しており、病状の悪化により入院する高齢の患者さんにおける転倒転落リスクは大幅にあがると考えます。
医療現場で起こる転倒転落事故の多くは医療従事者が不在時に発生しています。 そのため、入院時には患者さんやその家族へ転倒転落やそれによる骨折発生の可能性について説明し理解を求めています。 当院では、全入院患者さんの活動や認知機能面、薬剤使用の状況をアセスメントし、看護計画を立て、それにそった転倒転落の対策をチームで実践しています。 ここ数年は医療安全委員会のもとに転倒転落プロジェクトを置き、 「転倒転落しても3b以上(手術などの濃厚な治療を要するレベル)の大きな怪我につなげない」を目標として多職種で活動しています。 2020年~2022年転倒転落の発生率は2.9~3.0‰であり、大きく変化はありませんが、損傷率は2020年~2021年0.07~0.08‰ら2023年は0.03‰まで減少しており、一定継続して取り組んでいる活動の効果はあったと判断しています。 今後も未然防止と事後の対応として転倒した患者さんのラウンドを通して再発防止策の検討につなげたいと思います。
各指標の計算式と 分母・分子の項目名 |
解釈 | |
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備考 | ‰ (パーミル、千分率)表示 | |
分子 |
A)入院患者の転倒・転落件数 B)治療を必要とする転倒・転落件数 |
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分母 | 入院患者延数(24時在院患者+退院患者数の合計) | - |
年度 | 最大値 | 75%値 | 中央値 | 25%値 | 最小値 | 当院 |
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※ 外れ値を除く | ||||||
2020年 | 8.50 | 6.04 | 4.81 | 4.02 | 1.51 | 3.10 |
2021年 | 9.20 | 5.85 | 4.57 | 3.49 | 1.17 | 2.81 |
2022年 | 9.19 | 5.87 | 4.20 | 3.42 | 1.23 | 2.98 |
年度 | 最大値 | 75%値 | 中央値 | 25%値 | 最小値 | 当院 |
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※ 外れ値を除く | ||||||
2020年 | 0.34 | 0.18 | 0.10 | 0.06 | 0.00 | 0.06 |
2021年 | 0.27 | 0.14 | 0.10 | 0.06 | 0.00 | 0.08 |
2022年 | 0.29 | 0.14 | 0.08 | 0.04 | 0.00 | 0.03 |