寒さと乾燥が増してくるこの時期、「かぜ」が流行り始めます。
かぜは、原因となる微生物に感染することで起こり、8~9割はウイルス感染によるものです。原因ウイルスは200種類以上あると言われ、代表的なものに「ライノウイルス」「コロナウイルス」「インフルエンザウイルス」「RSウイルス」「アデノウイルス」などがあります。ウイルスは寒さと乾燥を好みますが、人は寒さと乾燥によって体の抵抗力が落ちるため、かぜにかかりやすくなります。
ウイルス以外にも「溶連菌」「百日咳菌」などの細菌や、「肺炎マイコプラズマ」などの病原体が感染を起こします。
このように、ひとくちに「かぜ」と言っても原因微生物はさまざまなのですが、発熱・頭痛・鼻水・鼻づまり・のどの痛み・せき・全身倦怠感など、おもな症状は共通していて「かぜ症候群」と総称されます。
ウイルスが原因の場合、ウイルスに直接効く特効薬はありません。水分・栄養を補給し安静にすることが大事です。咳や痛みなどのつらい症状に対しては緩和する薬が処方されます。
ウイルスの中でも、インフルエンザウイルスに対しては「抗インフルエンザ薬」で増殖を抑えることができます。しかし、すでに増殖してしまったあとに使っても効果が薄いため、発症後48時間以内に使用する必要があります。
ウイルス以外の、細菌やマイコプラズマなどの場合はそれぞれに効く抗菌薬を使用する必要があります。
かぜは予防が一番です。かぜをひいている人の咳やくしゃみを吸い込んだり、病原体のくっついた手で鼻、口、目をこすったりすることで感染が起こります。人ごみに出かける際はマスクを着用し、外出後には手洗い・うがいをしっかり行いましょう。睡眠不足や偏った食生活も体の抵抗力を下げる原因になるので、普段から充分な睡眠・栄養バランスのとれた食事を心がけることも大事です。
また、かぜをひいてしまった場合は、人に移してしまわない配慮も必要になってきます。マスクをすると、咳やくしゃみで周囲へ病原体を飛ばしてしまうのを抑えることができます。のどの保湿効果もあるので、咳のある人はぜひマスクを着用しましょう。