近年吸入ステロイドの普及などにより喘息のコントロールは改善し、喘息死も減少しております。一方、十分な薬物治療にもかかわらず、症状が持続する重症気管喘息患者さんも存在し、これらの患者さんでは日常生活が少なからず制限されています。重症喘息に対しては、分子標的薬の開発も進んでおりますが、2000年代に入り、重症喘息の症状緩和を目的とした気管支サーモプラスティが開発され、2015年4月に日本でもこの治療法が保険収載されました。
喘息発作の原因は、特定の刺激に反応して気管支の周りにある筋肉が収縮し、気管支が狭くなるために起こります。気管支サーモプラスティは、内視鏡(先端にカメラが付いた細くて柔らかいチューブ)を口から気管支に進め、専用のカテーテルで気管支の筋肉を温めることで発作的に収縮する事を予防します。それにより、刺激を受けても気管支が狭くなることを防ぎ、喘息の症状が抑えられます。
気管支サーモプラスティ治療は、高用量の吸入ステロイド薬(ICS)及び長時間作用性β2刺激薬(LABA)で喘息症状がコントロールできない18歳以上の重症喘息患者が対象となります。ICS/LABA治療に加え、ロイコトリエン受容体拮抗薬、長時間作用性抗コリン薬、テオフィリン製剤などの薬物療法を併用しても、コントロール不良であったり、増悪を繰り返したりする方が対象になります。またオマリズマブやメポリズマブ使用患者、ステロイド内服患者なども対象です。
過去の治療結果から、気管支サーモプラスティ治療1年後には、自覚症状は79%、救急外来受診率は84%、ステロイド全身投与を有する喘息発作の発生率は32%の減少がみられています。
気管支サーモプラスティによって発作は軽減しますが、吸入および内服薬の継続は必要です。処方は治療後に主治医と相談して調整していきます。
気管支サーモプラスティに伴う医療費は高額となります。高額医療費制度を含め、医療相談室でのご相談をお願いいたします。
重症難治性喘息に対し、吸入薬、内服薬(抗ヒスタミン薬、経口ステロイド、ロイコトリエン受容体拮抗薬、テオフィリン)、生物学的製剤などが存在します。治療適応は患者さん毎に異なるため、主治医に確認をお願いします。
偶発的な合併症、併存症の可能性はあるものの、それらに対しては発症時に適宜病状を説明し、その治療に努めます。