災害拠点病院の指定と役割
坂総合病院は、2008年4月30日付で地域災害医療センターの指定を受けました。宮城県では、「仙台医療センター、公立刈田綜合病院、仙台市立病院、東北大学医学部附属病院、仙台赤十字病院、東北労災病院、東北厚生年金病院、大崎市民病院、栗原中央病院、佐沼病院、石巻赤十字病院、公立気仙沼総合病院」に続いての13番目の指定となります。その後、県南中核病院も指定を受けています。
地域災害医療センターとは
次の災害医療支援機能を有し、24時間対応可能な緊急体制を確保する災害拠点病院のことを指します。
- 多発外傷、挫滅症候群、広範囲熱傷等の災害時に多発する重篤救急患者の救命医療を行うための高度の診療機能
- 患者等の受け入れ及び搬出を行う広域搬送への対応機能
- 自己完結型の医療チームの派遣機能
- 地域の医療機関への応急用資器材の貸出し機能
宮城県の他の地域医療センターと協力・連携し合い医療活動を展開します。
- 基幹災害医療センター
原則として各都道府県に1ヶ所設置 ⇒ 仙台医療センター
- 地域災害医療センター
原則として二次医療圏に1ヶ所設置 ⇒ 上記14箇所
地域災害医療センターとして必要な施設として下記規定されています。
- 病棟(病室・集中治療室等)救急診療に必要な診療棟(診察室、検査室、エックス線室、手術室、人口透析室等)、災害時における患者の多発発生時に対応可能な居室等及び簡易ベッド等の備蓄倉庫
- 診療に必要な施設は耐震構造であること
- 電気等の生活必需基盤の維持機能
- 基幹災害医療センターにおいては、災害医療の研修に必要な研修室
- 原則として、病院敷地内にヘリコプターの離発着場を有すること。
やむなく病院敷地内に離発着場の確保が困難な場合は、病院近接地に非常時にも使用可能な離発着場を確保すること
地域災害医療センターとして必要な診療設備等は下記の通りです。
- 広域災害・救急医療情報システムの端末
- 多発外傷、挫滅症候群、広範囲熱傷等の災害時に多発する重篤救急患者の救命医療を行うために必要な診療設備
- 患者の多数発生時用の簡易ベッド
- 被災地における自己完結型の医療救護に対応できる携行式の応急用医療資器材、応急用医薬品、テント、発電機等
<災害拠点病院整備事業実施要綱(一部改正)H8年2月3日(厚生労働省)>から
地域災害医療センターとしての自覚と常時訓練
私たちは、地域災害医療センターの機能と体制の強化を図ることを目的に、地域災害医療センターの指定を受ける前から、防火防災委員会のもとに大規模災害対策小委員会を常設し、量的質的な向上に向けた日常的な訓練を2006年から行ってきました。
訓練活動のきっかけは、2005年多賀城市で発生した多数傷病発生の交通事故での受け入れでした。十分に病院機能を発揮できなかったとの反省を踏まえ、病院あげての大規模災害多数傷病者発生時を想定した訓練を2006年4月27日(第1回目)から開始しました。その後、毎年、4月第4木曜日に訓練を定期化し、すでに6回を数えます。特に2009年からは「日中の大規模地震災害」を想定した訓練に発展させ、医師会、保健所、行政担当者の方々にもご参加いただき、総評をいただきながらマニュアル見直しに生かしてきました。
今回の3・11東日本大地震は、そうした2011年4月の訓練準備中に起きた大規模災害でした。
今回の東日本大地震での教訓を発信
今回の東日本大地震発生は、未曾有の大災害です。私たちの想定をはるかに超えた災害でした。しかし、初期初動でのトリアージは、訓練の蓄積された結果として十分に対応可能でしたし、全国の地域災害医療センターの皆さんにも教訓として提供できる効果があったと思います。
今回の情報提供を出発に、今後も発信して行きますので、どうぞ今後の救急医療の分野に役立てていただければ幸いです。